新着情報(2016年12月19日)

平成29年度税制改正大綱(国際課税)−タックスヘイブン対策税制の大幅見直し

2016年(平成28年)12月8日付で発表された平成29年度税制改正大綱ですが、国際課税の分野においては、予想通り外国子会社合算税制(=タックスヘイブン対策税制)に関して大幅な見直しが行われています。

事前の予想通り、トリガー法人税率(租税負担割合)「20%未満」が廃止されたため、現行のように法人税率20%以上の国・地域に所在する外国関係会社であれば一様に合算対象外とはならなくなりました。しかし、それでもなお税率30%以上の国・地域(今や非常に少なくなりましたが)に所在すれば一様に合算対象外となりますし、また20%以上の国・地域に所在すれば、一定の要件に該当するペーパーカンパニー(実体基準、管理支配基準を満たさないのとほぼ同義)、ブラックリスト国に所在する等でなければ経済活動基準の適用による合算対象外となるなど、今までよりは条件が厳しいものの実質的にはトリガー税率が引続き機能しています。また、保険業を営む外国関係会社から現地で業務を受託する企業が実体基準又は管理支配基準を満たしていれば、委託者である保険業の外国関係会社もそれらの基準を満たすものとされ、保険業の実体に対する特別な配慮がなされています。

日本を含め各国の法人税率が競うように引き下げられている中、タックスヘイブン対策税制は、元々日本の税率の半分以下の国・地域に所在する外国関係会社を合算対象とするのが目安とも言われており、その考え方からすればトリガー税率が下がる、つまり緩和されるのが自然ですが、今般見直しでは全般的に厳格化されており、時代の流れに逆行しているようにみえます。但し日本を含む主要国の税務当局としては、低税率や優遇税制により企業を誘致する国・地域の存在が自分達から税収を奪っていると考えており、BEPS(“Base Erosion and Profit Shifting”)プロジェクトにおいては租税回避防止に関する国際的協調の必要性から、タックスヘイブン対策税制の強化は欠かせない要素の一つとなっています。しかし今般の見直しによるタックスヘイブン対策税制の厳格化及び更なる複雑化により、海外で活動する日本企業のコスト負担が増加し、国際的な事業活動の発展が阻害されることが懸念されます。

なお今般の見直しは外国関係子会社の2018年(平成30年)4月1日以後に開始する事業年度から適用するとなっています。例えば12月決算の外国関係会社であれば、2019年12月期から適用ということになります。

主な見直し点(詳細は、与党発表の「平成29年度税制改正大綱」をご参照ください。):

(1)合算対象となる外国法人の範囲が拡大:

  • 内国法人等の間に50%超の株式等の保有を通じた連鎖関係がある場合には合算対象となる。
  • 居住者又は内国法人がその外国法人の残余財産のおおむね全部を請求することができる等の実質的な支配関係がある場合、合算対象となる。
  • 外国関係会社が特定外国子会社等に該当するかどうかを判定するための租税負担割合基準(現行は20%未満)を廃止。
  • (2)会社単位の合算課税制度:

    • 「経済活動基準」(現行は適用除外基準)のいずれかを満たさない外国関係会社について会社単位合算課税の対象とする。

      • 一定の実体要件を満たす航空機貸付業:事業基準は満たすものとし、非関連者基準を適用。

      • 保険業:保険業を営む外国関係会社から業務委託を受けた受託者が実体基準又は管理支配基準を満たしている場合、委託者である外国関係会社は実体基準又は管理支配基準を満たすものとする。

      • 書類等の提出等がない場合の推定:国税当局の職員が外国関係会社の経済活動基準を満たすことを示す書類等を期限までに提出しなかった場合、その外国関係会社は経済活動基準を満たさないものと推定する。

    • 適用免除:外国関係会社の当該年度租税負担割合が20%以上の場合、会社単位の合算課税の適用を免除する。

    (3)一定所得の部分合算課税制度:

    • 資産性所得の定義:配当等の除外要件が持分割合「10%以上」から「25%以上」へと縮小、デリバティブ取引、外為取引に係る損益も含まれるなど、資産性所得の範囲が拡大。

    • 適用免除:

      • 外国関係会社の当該年度租税負担割合が20%以上の場合、部分合算課税の適用を免除する。

         
      • 部分合算課税に係る少額免除基準のうち金額基準を2,000万円以下(現行は1,000万円以下)に引き上げる。
    •                          

    (4)特定の外国子会社に係る会社単位の合算制度:

    • 合算対象となる外国関係会社:外国関係会社のうち次に掲げるものについて、会社単位の合算課税の対象とする。

      • 次に掲げる要件のいずれも満たさない外国関係会社。

        • 主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有している(保険業を営む一定の外国関係会社にあっては、これらを有している場合と同様の状況にある場合を含む)こと。

        • その本店所在地国において事業の管理、支配及び運営を自ら行っている(保険業を営む一定の外国関係会社にあっては、これらを自ら行っている場合と同様の状況にある場合を含む)こと。

      • 総資産額に対する資産性所得合計額が一定割合を超える外国関係会社。

      • 租税に関する情報交換に非協力的な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域(注:現時点では明示なし)に本店等を有する外国関係会社。

    • 適用免除:上記に該当する外国関係会社の当該事業年度の租税負担割合が30%以上である場合には、会社単位の適用を免除する。

    (5)外国関係会社に係る財務諸表等の添付:内国法人は、次に掲げる外国関係会社に係る財務諸表等を確定申告書に添付しなければならない。

  • 租税負担割合が20%未満の外国関係会社。
  • 租税負担割合が30%未満の外国関係会社(上記3つのいずれかに該当する特定の外国関係会社に限る)。
  • 本件についてご不明な点がありましたら、弊社までご遠慮なくご連絡ください。

    △PAGE-TOP

    Copyright © Cosmos International Management Co.,Ltd. All Rights Reserved.