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新着情報(2015年9月24日)


中国が移転価格ガイドラインの改正草案を発表

中国国家税務総局(SAT)は2015年9月17日、同国の移転価格ガイドラインとして2009年1月に制定された特別納税調整実施弁法(以下“弁法”)の改正草案を公表しました。本改正草案は10月16日までパブリックコメントを募集しており、今年末までには最終化されると予想されています。

今回の改正の目的は主に2つあり、1つはOECDがG20諸国(中国を含む)と共に推進する対BEPS(Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と利益移転を含む国際的租税回避の意)プロジェクトが作成した提言に、中国も参加国として自国の税制を多少なりとも収斂させる必要性です。もう1つは、中国独自のポジション、例えば先進国が有する無形資産や資本のみならず、豊富な人口を背景とした安価な労働力や市場購買力なども利益創出の重要な源泉であるといった主張の明文化です。これは既にSATがそのような考えに基づいた税務執行や発言を行っており、また関連する諸通達が発行され弁法を補完してきましたが、本改正を機にそれら発言や通達の内容を弁法に一本化する意図がうかがえます。

対BEPSプロジェクトの提言は主に欧米日など先進国側の論理をベースに作成されていることから、ともすれば相容れない上記2つの目的を包含する本改正草案は、現行の弁法から大幅な追加、変更が加えられており、このまま最終化されれば日系中国企業にも大きな影響が及ぶと思われます。以下、とりいそぎ概要のみですが主要な変更点を紹介します:

第2章:関連者間取引の定義

持分関係(25%)以外の貸出、親族等による実質支配基準の規定が具体化されています。また資本取引である株式投資取引についても関連者間取引と定義されています。

第3章:同期資料

同期資料は、マスターファイル(企業グループ全体の情報)、ローカルファイル(従来の同期資料に一番内容的に近く、検証対象中国企業の情報、移転価格分析などを含む)及び特殊文書の3つから構成されるとしています。うちマスターファイルとローカルファイルについては従前同様、関連者間取引額が売買取引で年2億元超、その他取引(融資取引は利息支払額で計算)で年4,000万元超の規模の企業は決算期翌年の毎年5月31日までに作成する必要があります。但し、限定された機能・リスクのみ有するにもかかわらず損失を計上している企業は、上記の免除基準に関係なく同期資料作成義務が生じます。

また特殊文書とは、(1)サービス取引や(2)コストシェアリング取引を行っている、又は(3) 負債資本比率が過少資本規制に抵触する場合に作成を要し、これも取引規模に関する免除規定が設けられていません。よって現在の改正草案では、例えば日本の本社から中国子会社への少額の技術援助取引でもこの特殊文書を作成する必要があると解釈されます。

第4章:移転価格算定方法

従前からの5つの算定方法の他、その他の方法として価値貢献分配法、資産価値評価法を含むとしています。特に価値貢献分配法は、多国籍企業全体の利益全体を資産、費用、収入、従業員数等の利益貢献度に応じて各国の関連者に配分する、要するに中国に都合の良い利益分割法ともいえるもので、このような方法を恣意的に適用されると日系中国企業の課税リスクが更に高まる事が懸念されます。

第6章:無形資産取引(新設)

この章及び第7章(サービス)は対BEPSプロジェクトの提言に概ね沿って新設されたものの、無形資産の定義や中国国外への対価支払への厳しい対応等独自色を出しています。

第8章:事前確認(APA)

APAの場合税務調査と違い更正は中位値ではなく四分位値をベースに行うのが世界的な慣例ですが、本改正草案ではAPAでも中位値を下回ると調整するとしています。またvalue chain分析、労務コスト節減や購買力など地理的メリットに関する分析を含むAPAの申請を優先して審査するとしています。特に二国間APAでは相手国側税務当局といかに折り合いをつけるかがポイントにもかかわらず、これらの中国独自色が強まる事により、ただでさえ数が少ない日中間を含む二国間APA締結が更に困難になると懸念されます。

第13章:利益率水準の監視(新設)

地方税務機関は納税者を格付けにより分類・管理し、格付けの低い企業や一度更正された企業を中心に利益率の監視(モニタリング)を強化すべきとしています。


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