株式会社コスモス国際マネジメント



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日中企業利益率比較(直近3年平均、及び最近の推移)

筆者の属する潟Rスモス国際マネジメントでは、最近日本企業と中国企業の利益率比較分析を行いました。その中から主要な部分のみ抜粋し、以下紹介します。


1.前提条件

ビューローヴァンダイク社の財務データベースを使用し、以下の基準に該当する企業(日本企業11,333社、中国企業7,261社)を選定:

 

(1)他社に25%以上所有されていない企業(25%以上所有されている会社?子会社等?は独立性が低く利益率が親会社の方針に左右されやすい為除外)。

(2)直近期の売上高がUSD1百万(約1億2千万円)以上(それ以下の規模の会社は収益性が低いか又は収益変動の大きな会社が多く、統計的信頼性が低い為除外)。

(3)直近3年間(2014年〜2012年度、又は2013年度〜2011年度)の売上高及び営業利益のデータが存在する。

2.分析結果

(1)全般

以下の通り、全ての業界(金融業を除く)において直近3年平均の売上高営業利益率は中国企業の方が高いという結果が出ました。


この原因として、主に以下が考えられます:

(a)マーケット・プレミアム:(中国国内市場における購買力の強さが販売価格の維持上昇につながり、中国企業の高い利益率を支えている)

(b)ロケーション・セービング:(中国の安い人件費によるコスト節減分が企業のより高い利益率に反映されている)

(c)財務諸表の信頼性vs.法人税率:(中国では会計監査が日本ほど厳格でなく、企業のメンツのために利益が実態よりも過大に表示されている可能性がある。一方日本企業は法人税率が高い事から、特に非上場企業は節税のために低めに利益を計上するインセンティブがある)

中国では、企業数全体に占める製造企業数の割合は80%と非常に高く、最近産業構造が変化しつつあるものの、未だ製造業の占める割合が大きいことがうかがえます。一方日本では、企業数全体に占める製造業の割合は29%と中国に比べ相当低く、未だに全業界の中では最多であるものの、中国に比べ産業構造の脱製造業化が相当進んでいることを示しています。特に目につくのが、建設業に属する企業数が中国に比べ40倍以上と際立って多い事です。

日本企業で利益率が最も高い上位3業種は、@不動産・ホテル業、Aインフラ事業及びBサービス業と、利益率の水準は大分低いものの中国企業の上位3業界とほぼ同じ(1位と2位の順番が入れ違うのみ)となっています。

(2)利益率の推移

中国企業は、10業界中8業界で2011年度に比べ2014年度の利益率が下回っています。それに対し日本企業は、意外にも10業界中8業界で2011年度に比べ2014年度の利益率が上回っています。つまり、未だ中国企業の利益率の方が全般的に高いものの、中国経済の減速や人件費上昇により前述したようなマーケット・プレミアムやロケーション・セービングに係る中国の比較優位性の減少から、日本企業との差が縮まっていると推測されます。

(執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

(JAS月報2016年3月号掲載記事より転載)

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