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2014年11月:Vodafoneがインドで勝訴

英国に本社を置く世界最大の携帯電話会社ボーダフォンは、インドで3件の、しかも各々巨額の課税を受けていました。その一つが、インド子会社が国外の関連会社から出資を受けた際、子会社の株価を過小評価した(関連会社からの払込価格が過少)との理由で移転価格課税を受けた件です。更正所得額は2009〜2010年度計USD490百万相当でした。ボーダフォンは、出資については収益取引ではなく資本取引のため非課税であり、移転価格課税の適用は間違いであると主張し、2013年2月ムンバイ高等裁判所に提訴しました。


ムンバイ高等裁判所は2013年12月、本件は手続上の問題として、先に係争解決パネル(以下“DRP”。2009年にインドの主要都市に設けられた税務係争の仲裁機関)で解決をはかるべきとし、一度ボーダフォンの訴えを差し戻しました。しかしながら、3人の仲裁委員が全て税務当局幹部で占められるというDRPでは結局進展がなく、再びムンバイ高等裁判所に持ち込まれました。そして今年10月10日付で同裁判所は、今度は本件においてボーダフォンの訴えを認め、株式発行取引は課税対象ではないとし、課税処分の取消しを命じた模様です。


そもそも、筆者も以前指摘(JAS月報2013年3月号参照)した通り、資本取引に移転価格税制を適用するのは完全に誤りであり、このようなインド税務当局の無法なやり方に対し司法の公正な判断が下された事は、石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェル社など同様な課税を受けてきた企業にとっては朗報でしょう。なお、ボーダフォンの残り2件のインドでの課税のうち1件は、インドの携帯電話会社買収に際しUSD22億ものキャピタルゲイン課税支払を命じられた件(JAS月報2012年4月号参照)ですが、これはインド最高裁で会社側が勝訴したにもかかわらず、インド政府が1962年まで遡るキャピタルゲイン課税を可能にする税制改正を行い、物議を醸しています。日系企業も、これほど酷い処分は聞かないものの、大手を中心に多くの進出企業がインドで課税され苦慮していると聞きます。インドに進出する日系企業も最近増えていますが、税務リスクについては間違いなく世界最高レベルの警戒が必要です。

(執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

(JAS月報2014年11月号掲載記事より転載)

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