株式会社コスモス国際マネジメント



ライブラリ(国際税務関連記事)


2014年9月:新興国における課税問題 (経済産業省による調査結果)

経済産業省は、今年(2014年)3月に海外進出企業を対象に課税問題に関するアンケート調査を実施し、895社から回答を得た結果をまとめ、この程ウェブサイトで公開しました。同省は最近課税問題に係る調査、提言等を積極的に行い、海外進出企業にとっては大変参考になる内容となっており、筆者が認識している状況とも大枠において相違ありませんので、その概要を以下紹介します。

(質問)国際的な二重課税の原因となるような課税措置が生じた国(過去5年以内)

(回答)

1.中国(30.6%)

2.インド(18.5%)

3.インドネシア(16.9%)

4.タイ(5.6%)

5.台湾(4.0%)

6.米国(4.0%)

7.ベトナム(3.2%)

上記から、日系企業における海外課税問題の約3割が中国で発生しており、中国、インド、インドネシアの3か国合計では約3分の2に上り、特定の国にリスクが集中している事がうかがえます。一方、依然として最大級の貿易相手国である米国の割合が低く、課税問題の殆どはいわゆるアジアの新興国において発生していることが改めて確認できます。

(質問)国際的な二重課税の原因となるような課税措置の内容(過去5年以内)

1.移転価格税制(43.5%)

2.PE(恒久的施設)(22.6%)

3.ロイヤルティ(16.9%)

4.その他(16.9%)

やはり、移転価格税制に基づく課税が問題の半数近くを占める最大の問題であることが明らかになっています。移転価格課税措置の内訳としては、不適切な比較対象取引を用いた増額(更正)が16.1%、みなし利益率による増額が15.3%、その他が12.1%となっており、海外子会社が実際よりも高い利益率をあげるべきと現地税務当局に認定されるケースが多くを占めていることがうかがえます。

主な具体的事例(各国別)

(1)中国

  • 景気や経営状況に関係なく一律の高い利益率が求められ、追徴課税を受けた。
  • 中国における市場開拓は、現地子会社が自身のノウハウを用いて行っているため、無形資産は中国側にあると認定され、追徴課税を受けた。
  • 出向者の給与などを一時的に親会社が立て替えていた場合に、出向者が親会社の支配下にあるとしてPE認定され、当該PE課税を受入れなければ海外送金できなかった。
  • 現地子会社が赤字の場合など、技術提供の便益を享受していないとの理由でロイヤルティ支払の損金処理を否認された。

  • (2)インド

  • 現地の販売会社が行う取引形態が代行(仲介)取引であるにもかかわらず、仕切(商品の仕入・再販売)取引とみなされ、仕切取引の高い利益率を代行取引に適用された。
  • 現地子会社が「何のリスク負担もせず、親会社の取次にすぎない」という主張に基づき、親会社のPEであると認定された。
  • 親会社から購入したソフトウェアの対価支払をロイヤルティとみなし源泉徴収した。

  • (3)インドネシア

  • 実態と乖離した高い利益率の適用:比較対象企業の利益率を算出する際、赤字会社を除く事により平均利益率を高く算出し追徴課税を行った。
  • 法人税の予納額が過大になった場合には還付請求を行うが、還付請求を行うと税務調査が必ず入ると言われる。

  • (4)タイ

  • 一般的に、ロイヤルティ料率が3~5%を超える場合には税務当局の移転価格調査対象となるリスクが高いとされている。

  • (5)ベトナム

  • 外国企業がベトナム企業にサービスを提供しその対価を受領する場合、ベトナム国内法の規定により、PEの有無にかかわらず外国契約者税が課される。

  • 上記は、実際に現地で発生するリスクの一部にすぎない事をご理解ください。また、これとは別に本国日本でも、これら新興国との取引に関する移転価格課税等国際課税リスクが高まっていることをご理解ください。

    (執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

    (JAS月報2014年9月号掲載記事より転載)

    △PAGE-TOP

    Copyright © Cosmos International Management Co.,Ltd. All Rights Reserved.