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2014年7月:サービスフィー支払に対する中国での厳しい税務調査

中国では最近、中国子会社が海外関連会社に支払うサービスフィーに対し税務調査が行われ、フィー支払の損金算入が否認される追徴課税が多発しています。そのような中、中国の国家税務総局(日本の国税庁に相当)国際税務部の廖体忠部長が6月4日に米国で講演を行った際、米国企業が中国の子会社から徴収しているサービスフィーに関して中国税務当局が行っている税務調査の手法について明らかにしました。

米国企業、と特定したのは、講演場所が米国であることや、中国子会社から最もアグレッシブにサービスフィーを徴収しているのが米国企業であろう事が理由と思われます。しかしながら、廖部長が明示した手法は、対米国取引に固有の方法というよりも、日本を含む他国へのサービスフィー支払取引に対しても同様に適用される可能性が高いと考えられます。よって、米国企業のみならず日本企業にとっても参考となると思われますので、以下紹介します。具体的には、サービスフィー支払が税務上認められる為には、以下に掲げる6つのテストを全てクリアする必要があるとの事です。

(1)ベネフィット・テスト

ベネフィット・テストは、関連会社が提供するサービスが中国子会社にベネフィット(メリット)をもたらしているか、という点をチェックしますが、これは中国子会社、関連会社の両面から行います。つまり、サービス提供を行う側である関連会社自身もメリットを得る事があると考えられる中、中国子会社が受けるメリットが関連会社より大きい事が、サービスフィー支払が税務上認められるため必要となります。例えば、グループの世界的戦略に基づいて関連会社が中国子会社に対しサービス(例:グローバルな業務ソフトウェア導入)を提供した場合、ローカルのソフトでもよかった中国子会社よりも関連会社の方がメリットを得ていると考えられるため、そのような場合中国ではサービスフィー支払を税務上認めません。

(2)必要性テスト

必要性テストは、サービスフィーが税務上認められるためには、関連会社が提供するサービスが中国子会社にとって必要なものでなければならない、という面からのチェックです。例えば、シンプルな製造機能のみ有する中国の受託製造子会社に、関連会社から法務、会計に関するサービスを提供する必要性は乏しいのでないかとしています。

(3)重複テスト

重複テストは、関連会社の行うサービスが既に中国子会社が自ら行った役務に重複するものであるか否かをチェックします。例えば、子会社が自ら行った管理業務に関し、社内規定に基づいて関連会社が承認した場合、同承認に要した業務は子会社自らの管理業務と重複するものであり、中国子会社からのサービスフィー徴収は認められないとしています。

(4)価値創造テスト

これは、関連会社から中国子会社に提供されるサービスは経済的・商業的価値を有していなければ、その対価支払は認められないというテストです。例えば関連会社による承認行為は、それ自体経済的・商業的価値を有しないと認定されます。

(5)報酬テスト

関連会社が中国子会社にサービスを提供していても、他の取引によりその対価が既に支払済である場合があるので、それをチェックするのがこのテストです。例えば、中国子会社が関連会社から原材料を購入し製品を加工、完成品を全量関連会社に販売する、いわゆる受託加工取引の場合、関連会社が技術支援等のサービスを中国子会社に対して行っても、その対価は原材料又は完成品取引に織込まれていると考えるべきであり、別途フィーを徴収すべきではないという事になります。

(6)信憑性テスト

信憑性テストでは、関連会社が本当に実体のあるサービスを中国子会社に提供したのか、及び関連会社のコストを中国子会社に配賦する方法は適切であるかをチェックします。


以上6つのテストは、中国の税法には記載はありませんが、OECDガイドライン等に基づいたグローバルな手法よりも詳細且つ厳格であるといえます。親会社側では、中国子会社に対するサービス提供の対価を回収しないと移転価格課税や寄附金課税(日本)が行われる可能性は高いですが、一方でサービスフィー支払を行うと、今度は中国側でフィー支払の損金不算入リスクが高まります。中国向けサービス取引に関する対価の設定と回収に関しては、今後はより慎重な検討が必要になってくると思われます。

(執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

(JAS月報2014年7月号掲載記事より転載)

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