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ライブラリ(国際税務関連記事)


2014年2月:アジアの税務ニュース

(1)ベトナムがAPA規則を発行

ベトナムの財務省はこの程、Advance Pricing Agreement(以下“APA”)制度に関する最終規則を発表しました。施行日は2月5日となります。既に東南アジア主要国の多くでAPA締結が可能である中、ベトナムでも少し遅れてAPA制度が出来ました。

APAとは、国外の関連会社との間で行う取引価格の算定方法について企業がその国の税務当局から事前に確認を得ていれば、移転価格に関する税務調査は一定期間行われないという制度です。特に二国間APAは、関係両国の税務当局間で合意してもらい、一定期間は両国でほぼ完全に移転価格調査リスクを回避できるという方法です。安全な代わりに時間と費用がかかるため、主に大企業が利用しています。

ベトナムAPA最終規則の原本は現時点未入手ですが、専門家筋によると、昨夏に発表された草案と内容的にほぼ同じで、特徴としては以下の通りです:

  • Unilateral(一国向け)、Bilateral(二国間)及びMultilateral(多国間)の何れも可能
  • 4ステップのプロセス: (1)事前相談→(2)申請書提出→(3)当局審査→(4)(納税者や相手国との)協議/交渉
  • 適用期間5年(更新すれば更に5年間適用)
  • 申請料は無料(草案では有料を示唆していた)
    • ベトナムの税務当局は、同国で活動する外資系企業に赤字会社が多く、それら赤字の原因は海外に所在する親会社との間の移転価格設定に問題があると懸念しており、移転価格税務調査を強化しています。最近の税務当局の発表によれば、2013年1-9月の9か月間に1,200以上の企業に対し移転価格調査を行い、約23百万USD(約23億円)を追徴課税し、赤字を76百万USD(約76億円)減らしたそうです。調査を受けた中には日系企業も少なからず含まれているとされ、かなり強引な手法で課税された企業もあるようです。そのような中、APA制度の創設により、事前に当局との交渉で移転価格を設定でき、二重課税リスクを回避できる環境が出来ることは、対ベトナム投資環境の改善には資する(特にAPAを利用できる大企業にとっては)ものと考えられます。


      (2)インドネシアの投資ネガティブリスト更新

      新興国では通常、自国の産業を保護するため一定の業種に関して外資の投資制限が設けられています。インドネシアでも外国企業による投資の禁止・規制や出資比率の制限を定めた「ネガティブリスト」がありますが、このほど(2013年12月24日付)、同ネガティブリストが3年ぶりに更新されました。緩和された主な外資出資比率は以下の通りです:

      • 旅客・貨物ターミナル建設業、車両試験業: 0% → 49%
      • 製薬業: 75% → 85%
      • ベンチャーキャピタル業: 75%→85%
      • 広告業: 0%→51%(但し緩和対象はASEAN諸国の投資家のみ)
        • 一方で、流通業(卸売会社、倉庫会社)に対しては、今まで100%外資出資が可能であったのが、今回33%の出資上限が課されることになりました。全般的には外資の投資に対する緩和が行われる中、流通業に関しては国内企業保護のニーズに比べて外資参入のメリットはあまりないと考えているのでしょうか。しかしながら、日本の総合・専門商社をはじめ、インドネシアにはないネットワーク、ノウハウ、人脈等を持っている流通企業は多いと思われるのにもかかわらず、グローバル化に逆行するような流通業への規制強化はかえってインドネシア経済のために逆効果ではないかと懸念されます。

          尚、更新リストの適用は今年2月からの予定ですが、同リスト自体は未だ最終化されておらず、更なる修正の可能性があるようですので、注意が必要です。


          (執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

          (JAS月報2014年2月号掲載記事より転載)

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