新着情報(2024年11月29日):令和5事務年度における国際課税の状況(国税庁発表資料より)
国税庁は2024年11月28日、「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」を発表しました。
令和5事務年度(2023年7月~2024年6月)は、新型コロナウィルス感染に伴う社会的制限緩和の流れを受けて、法人税・消費税全体の実地調査件数が大幅に増えた前(令和4)事務年度の62千件から5%減の59千件となりました。
そのような中、国際課税の状況については以下の通りです。
(1) 海外取引法人等に係る実地調査の状況
海外取引全般に係る実地調査件数は、前事務年度の10,394件から10,451件へと若干増加しました。それに伴い、非違があった件数も2,422件→2,437件へと同じく微増となった一方、申告漏れ所得金額については2,259億円→2,870億円へと27%増加しました。1件当たり申告漏れ所得金額は、前事務年度の0.9億円から1.2億円へと増加しました。
(2) 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)に係る実地調査の状況
タックス・ヘイブン税制については、非違があった件数は106件と、前事務年度(107件)とほぼ変わらずであった一方、申告漏れ所得金額は207億円となり、前事務年度の406億円から49%減となりました。従って、1件当たり申告漏れ所得金額は前事務年度の3.8億円から1.95億円へと大幅に減少しました。
(3)移転価格税制に係る実地調査の状況
移転価格税制については、非違があった件数は前事務年度比16%減の125件であったにもかかわらず、申告漏れ所得金額は512億円と31%増加した為、1件当たり申告漏れ所得金額は前事務年度の2.6億円から4.1億円へと増加しました。
(4) 移転価格税制に係る事前確認の申出及び処理の状況
移転価格税制に係る事前確認(“APA”)の申出及び処理の状況については、申出件数は前事務年度日24%減の155件にとどまった一方、処理件数は前事務年度比11%増の139件(26%増)となりました。従って申出件数と処理件数の差は縮まったものの、依然申出件数の方が多い状況は変わらず、繰越件数は前事務年度比16件増加し、過去最高を更新する635件となりました。