新着情報(2023年12月4日):令和4事務年度における国際課税の状況(国税庁発表資料より)
国税庁は2023年11月29日、「令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要」を発表しました。
令和4事務年度(2022年7月~2023年6月)は、新型コロナウィルス感染に伴う社会的制限緩和の流れを受けて、法人税・消費税全体の実地調査件数は前事務年度の41千件から52%増の62千件となりました。
そのような中、国際課税の状況については以下の通りです。
(1) 海外取引法人等に係る実地調査の状況
海外取引全般に係る実地調査件数も前事務年度の6,676件から10,394件へと大幅に増えました(前事務年度比56%増)。それに伴い、非違があった件数も1,752件→2,422件(38%増)、申告漏れ所得金額についても1,611億円→2,259億円(40%増)と増加しました。1件当たり申告漏れ所得金額は、前事務年度及び当該事務年度ともに約0.9億円となっています。
(2) 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)に係る実地調査の状況
タックス・ヘイブン税制については、非違があった件数は107件と、前事務年度(57件)の約2倍と大幅に増加しました。申告漏れ所得金額も406億円と前事務年度比37%増加しましたが、件数増加の割合の方がより大きかった為、1件当たり申告漏れ所得金額は前事務年度の5.5億円から3.8億円へと減少しました。
(3)移転価格税制に係る実地調査の状況
一方、移転価格税制については、非違があった件数は前事務年度比微減(-3%)の149件でしたが、申告漏れ所得金額は392億円と18%増加した為、1件当たり申告漏れ所得金額は前事務年度の2.2億円から2.6億円へと若干増加しました。
(4) 移転価格税制に係る事前確認の申出及び処理の状況
移転価格税制に係る事前確認(“APA”)の申出及び処理の状況については、申出件数は205件(17%増)、処理件数は125件(26%増)と共に前事務年度比増加しましたが、申出件数の方が処理件数より多い状況は依然続いており、繰越件数は前事務年度比80件増加し過去最高を更新する619件となりました。