2024年6月:アジア主要国の移転価格文書化制度比較表(更新版)

この比較表は、本月報2018年1月号に掲載した表を約6年半ぶりに更新したものです。主な変更点として、その後移転価格文書化義務が強化・法制化されたマレーシア、フィリピン及びタイを追加しました。

各所在国において売上・取引規模等下記表の基準値を上回る企業は、当然ながら文書化義務を怠った場合には罰則が適用され、また更正課税を被るリスクが高まります。特にインドネシアとベトナムでは、比較的小規模でも作成基準に該当し、作成期限も短期間であり、且つ税務調査が厳しいことから、この両国に拠点を有する企業は、文書化義務に該当するにもかかわらず作成を怠っていないか否か、とりわけ注意する必要があります。

但し、文書化義務に該当しなくても、各国共通で税務調査時にはローカルファイル提出が求められ、期限内(通常30日以内)に提出出来ない場合は更正課税が行われるリスクが高まります。コロナ禍の収束後最近各国で税務調査が増加していることから、海外に子会社を有する企業は、文書化義務への該当如何にかかわらず、実質的に文書化を行う必要性が増していると考えられます。

<下記表の金額における( )内の円建て表示額は、最近の為替レートを参考に算出した概算値>

 

(執筆:株式会社コスモス国際マネジメント 代表取締役 三村 琢磨)

(JAS月報2024年6月号掲載記事より一部追記の上転載)